ミャンマーで日本語教師をやりはじめた頃から、ミャンマーで日本語を学んでいる人たちは、文法や語彙はよくできているのに会話や聞き取りが苦手だなという印象がありました。
N3やN2に合格していても、なかなか自然な会話のキャッチボールができないのはどうしてなのか、自分なりに分析してみますと
1)学んで満足~暗記重視の教育スタイル
ミャンマーでは、長い軍政時代の間、考える力を育てない教育がなされていたそうです。自分の考えではなく、教師の言う決まった答えだけが正解とされ、それを暗記すること。セーダンという高校の卒業試験兼大学の入学試験があるのですが、そのためだけに高校3年生は家庭教師を雇い一日中ひたすら勉強=暗記するそうです。その影響からか、日本語学校でも教科書の音読、語彙の意味説明、文法説明というパターン化が起こっていて、学習者も勉強したということ自体に満足をしてしまっているように感じられます。実際に日本語を使ってタスクを遂行するのではなく、日本語能力試験に合格することが目的になってしまっているのは残念です。
2)日本語教師の質~簡単に日本語教師になれる?!
ミャンマーでは日本語教育を専門的にまなぶことができるのはヤンゴンとマンダレーの外国語大学だけで、あとは日本語学校で日本語を学んだ後、日本語教師になるケースが大多数かと思います。こないだN3を学んでいた人が、N4やN5の先生をしているというのはミャンマーあるあるですね。また一昔前はミャンマーでは教師は尊敬される仕事でもありますので、外大で日本語を学んだら日本語教師になるというパターンだったのですが、日系企業の進出が加速し日本語のできるいい人材が不足している昨今、日本語教育を学んだ外大生は企業にいの一番で青田刈りされてしまうという事態もおきています。
3)日本人との接触場面が少ない~発音・アクセントの問題
近年ネイティブ日本語教師がふえている感のあるミャンマーですが、やはり教室ではティーチャートークになりがちですし、「自然な」日本語の発音やアクセントを十分に学習者にインプットしていく時間もなかなか確保できないのが現状かと思います。
また、ミャンマー人日本語教師の方々に日本人の知り合いや友達がいるか質問すると、「まったくいない」、「いたとしても忙しくてなかなか生の日本語に触れる機会がない」という答えがよく返ってきます。もし話す機会が多くても日常会話の中ではあまり発音やアクセントを直すことはしないでしょうから、なかなか自然な日本語の発音やアクセントを身につけることができないようです。
といった要因が思いあたります。
これまでも試行錯誤しながらやって自分なりのやり方で話す・聞く力を伸ばす授業をやってきたつもりではありますが、この度再度ミャンマーで日本語教育に関わることになりましたので、もう少し大きなスキームで「ミャンマー人の日本語力を高めていく」という命題に取り組んでいこうと考えTCIJPを立ち上げました。
TCIJPはミャンマー人日本語学習者の「日本語プロフィシェンシーを伸ばす」、さらにミャンマー人日本語教師の方々の「教師力を伸ばす」を大きなテーマを掲げておりましたが、さらに介護人財教育にも携わってまいります。
<2022年7月加筆・修正>
2021年度はミャンマーでクーデターもあり日本に帰国を余儀なくされておりましたが、その間に介護現場で働きながら、介護初任者研修・介護実務者研修・介護職種の技能実習指導員講習を修了しました。その経験を活かし、ミャンマー人介護人財育成に積極的に取り組んでいく所存であります。
1)ミャンマー人を選んでよかったと言っていただけるような介護人財の育成
2)仕事や留学で日本で生活しようと考えている方々への正しい情報の提供、学習支援
3)ミャンマー人日本語教師のための学びの場の運営
を3つの柱として “Take Action step by step with Heart.” で「小さなことからコツコツと」活動してまいります。